おのぼりOL適当日記

おのぼりアラサーが東京で共働き子育てをするブログ。保有する資格,所属する組織とは全く関係なく,個人的意見・思想に基づいて書き散らします。

麻酔分娩をした話①

0 はじめに

2016年11月2日,麻酔分娩で,息子を出産した。

産後2ヶ月が過ぎ,そろそろ落ち着いてきたので,忘れないうちに麻酔分娩についての記事を書いておこうと思う。
断っておくが私は何が何でも麻酔分娩を推奨しているわけではなく,自然に産んでみたいという人に対してはすごいなあチャレンジャーだなあと思うし,帝王切開で産んだ人に対しても本当にお疲れ様です…と思う。とにかくお産は母子ともに無事で終われば,どんな形でも万々歳。


しかし私は,とにかく痛いのが嫌だった。歯医者でもちょっと削るだけでも麻酔をお願いするタイプだし,そのまま歯医者で例えるなら,抜歯するのに「麻酔お願いしようかなーどうしようかなー」とか言う人はいないわけで(当然麻酔するわけで),そうであれば,それよりもっと痛い,死ぬかというくらい痛いという出産において,麻酔の選択肢があるのにあえて麻酔なしというのは考えられなかった。また,里帰りしないつもりだったので,そういう観点からも,産後の回復が早いと考えられている麻酔分娩を選択した。

 

麻酔分娩は,その名の通り出産において麻酔を使用するものである。つまり,ある種神秘的な「出産」行為に人の手を介入することとになる。そのため,なんとなーく(そう,本当になんとなく),「赤ちゃんに影響があるのでは」と思われがちであり,周囲から反対されたり,母親自身も「赤ちゃんに悪いかもしれないことを自分が楽したいがために選ぶなんて,自分は母親失格では…」「お腹を痛めて産んだ子は可愛いというし…」などと自分を責めがちである。


しかし,私ははっきり言いたい。周囲の意見なんか無視していい。痛い思いをするのは自分なのだから。
そして,麻酔分娩で産んでも子供はめちゃくちゃかわいい。私は毎日かわいいーかわいいーもうたまらんーと言いながら過ごしている。

 

私も,医療従事者でも何でもない実母に「麻酔を使ったら赤ちゃんに障害が残る」「自然が一番」と言われたり,10年来の友人に「麻酔って赤ちゃんが寝ちゃうんだよね?」と言われたりした。特にこの友人は,ともに勉強してきた仲間であり,それなりの高等教育を受けていて,私と同じ専門職につき,経済にも明るく,非常に優秀な人物である。そんな人がこんなことをさらっと言ってしまうのである。

もちろん母も友人も悪人ではない。「何が何でも自然がいいんだよおおお」と押し付けてくるわけでもない。そこにあるのは圧倒的な知識不足である(そもそも本当に「自然」がいいなら,病院ではなくどこぞの山奥や海中で1人で産めばよろしい)。なので,こういうことにいちいち傷つく必要はない。実際,2人も,簡単に説明したら「へー!」と言って納得してくれた。


この記事は,様々な理由から麻酔分娩を選択したいと考えているが実際どんなものかわからず不安な人たち,周囲の反応が怖くて言い出せない人たち,楽して産みたいなんてダメだろうかと悩んでいる人たち,そして自分自身は出産を考えていないけど周囲が出産し始めた人たち,に向けて書いている。あの有名なたま○クラブでさえ麻酔分娩についてほとんど載せてくれない現代の日本において,私の個人的記録が少しでも参考になれば幸いである。

 

なお,以下の文章は私の理解と記憶に基づいて作成したものであるが,当然ながら,私は医療従事者でも何でもないので,医療用語等に誤りがあるかもしれない。実際に麻酔分娩を選択される際には,当該医院の医師から十分な説明を受け,自己の責任において選択されるように。

 


前置きが長くなったが,以下見出し

 

  1. そもそも麻酔分娩とは
  2. 病院探し
  3. (当該病院において示された)麻酔分娩のメリットデメリット ←今回ここまで
  4. 陣痛から出産まで
  5. 産後の体調(母子それぞれ)
  6. まとめ

 

 

1 そもそも麻酔分娩とは
1−1 麻酔分娩と無痛分娩
無痛分娩とか麻酔分娩とかいろいろ言われるが,私の中では,いわゆる麻酔を使う経膣分娩を総称して麻酔分娩といい,その中でもしっかり麻酔を使用して結局痛みが無かったものを無痛分娩と呼ぶ,というふうに理解している。同じ麻酔量でも人によっては痛みが残ったり全く痛くなかったりするだろうから,「無痛分娩にしたのに痛かった!」などの感想が出てくる。とりあえず「麻酔分娩」といっておくのが良いのじゃないかなーと思う。

 

なお,私が出産したのと同じ日に,廊下に響き渡るくらい,もう獣の声としか形容できないくらい叫びまくって出産された方がいた。あとで知り合いになって話したところ,なんとこの方も麻酔分娩だったのである。体質か何か知らないけど麻酔が効かなかったらしい。
「痛くないものと信じていたので心の準備ができていなかった。本当に辛かった」とのことであった。

麻酔分娩を選んでも,ふつうに痛いこともある(無痛じゃない)。

 

1−2 麻酔の方法
麻酔の方法としては,硬膜外麻酔がスタンダードのようである。
要は背中にチューブを挿入して局所麻酔を注入する方式。
チューブ挿入は麻酔科医が行うが,その後の麻酔量の管理は産婦人科医でも行うことができる。

 

チューブをいつ入れるかは様々であり,
陣痛が来てから病院に行き,チューブを入れてもらうパターンや
計画分娩日を決めて,その日にチューブを入れてもらい,陣痛を待つパターンなど
病院によって,人によって全然ちがう

チューブを入れてから実際に麻酔を投入する過程についても様々である

 


2 病院探し
2−1 初動が命

さて,麻酔分娩をしたい!と心に決めたとして,次に重要なのは病院探しである。
麻酔分娩を選ぶ人はまだまだ少ないとはいえ,いやだからこそ麻酔分娩を実施している病院も少なく,結果として早め早めに動かないと分娩予約できないという事態に陥ってしまう。

 

手順としては以下のようになる
①ネット等で麻酔分娩を行っている病院を探す
②電話して分娩予約の方法を聞く→だいたいが「まずは診察を受けろ」と言われる
③現在通っている産婦人科で紹介状を書いてもらう
④分娩希望病院にて診察を受け,分娩予約を行う

 

分娩予約する際には,予定日が分かっていないといけない。病院としてもある時期にベッドや人手が足りないとかなったら大変なので,◯月予定日は◯人とか,ある程度予定を組んで分娩予約を受け付けることになる。

ここで,初動が遅いと,②で電話した時点や,④で「◯月予定日の方はもう受付終了しました」と言われてしまう。特に紹介状発行は1週間程度かかったりするので,タッチの差で埋まってしまうこともある。

 

東京は地方に比べて麻酔分娩を実施している病院が比較的多いとはいえ,その中でも,自宅からの近さや,病院の方針,値段,食事(これ大事だよ!)などで絞っていくと,選択肢は限られてくる。

実際,私も,第一希望だったJ大学病院は間に合わなかった。麻酔分娩の先駆けであるこの病院は,妊娠8週で分娩予約しないともう無理とかいう恐ろしい病院である。妊娠経験者ならお分かりかと思うが,8週というのはめちゃくちゃ早い。

 

結局,希望する病院で麻酔分娩を行いたいなら,あらかじめ病院を調べておき,すわ妊娠かというときから,その病院で診察を受けるのが良い,というのが私の感想。妊娠判明→そのまま予約という流れが一番可能性が高そう。

 

なお,セレブ病院のA病院なら,かなり後になっても予約可能だった。

 

 

2−2 金額

麻酔分娩ってお高いんじゃないのーという方に。

私が出産した病院は,麻酔分娩の場合は普通分娩のお金に+15万円だった。

めちゃくちゃ満足しているし,見合っていると思う(むしろ安いくらいでは)。

なお,麻酔カテーテルを挿入した場合にはそれだけで麻酔管理が必要となるため,何らかの理由で麻酔が効かなかったとしても,麻酔管理料は返ってこないというのが一般的なようである。

 


3 (当該病院において示された)麻酔分娩のメリットデメリット
3−1 説明
どこでもそうだと思うが,麻酔分娩を希望する場合,あらかじめ,麻酔分娩について(麻酔分娩の流れ,メリット・デメリット)の説明が行われ,書類に署名/押印する必要がある。
私が受けた説明は以下のとおり。実際に私の身に起こったことについてもあわせて記載する。

 

3−2 母体への影響

  • 針やチューブ挿入の際に硬膜が傷つくことが原因で,頭痛が起こることがあるが,ほとんどの場合1週間以内に治ります。
  • 麻酔分娩により神経が傷つき,腰痛・下肢の神経損傷が起こる可能性があります。
  • 非常に稀に,血腫や腫瘍が硬膜外腔にできて神経を圧迫して感覚や運動麻痺を起こす可能性があります。
  • 発熱することがあります。

→上記いずれも,私の身には起こらなかった。

 

3−3 胎児への影響

  • 母体の痛みが少ないため呼吸が安定し,赤ちゃんへ酸素が十分に届けられます。
  • 局所麻酔薬が胎盤を通過して赤ちゃんに与える影響はほとんどないと考えられていますが,お母さんに血圧低下が見られた場合には赤ちゃんに影響が及ぶので,麻酔分娩中は全身状態について常にモニター管理します。
  • 子宮が過剰に収縮することがあり,それにより一時的に赤ちゃんの心拍数が低下することがありますが,基本的にすぐに回復します。

→実際,我慢できる程度の痛みだったので,十分に呼吸できた。麻酔分娩は母親が楽するだけではなく,赤ちゃんにとっても良い面があるというのは嬉しい驚きである。

また,胎児の心拍数が低下したことが2回あったが,すぐに助産師さんたちが走ってきて,私に酸素マスクをつける・体勢を変えさせるなどの処置をしてくれ,いずれの場合も心拍数はすぐに回復した。

 

3−4 分娩経過への影響

  • 陣痛を人工的に起こすため,陣痛促進剤の使用が必要となります。
  • 陣痛が微弱な場合,人工的に破水させて陣痛を強めることがあります。
  • 人工破膜により赤ちゃんの心拍数が低下することがあり,これが頻繁に認められる場合には帝王切開に移行します。
  • 分娩時間が長くなる傾向があり,子宮内感染の割合が高くなります。

→陣痛促進剤を使用し,さらに人工破膜も行い,抗生剤も投与した。

 

3−5 その他

  • 麻酔分娩前は4時間以上禁食であり,麻酔中は水・お茶・スポーツドリンクのみ飲水可能です。
  • 麻酔中は転倒の危険があるため,歩行禁止です。ベッド上安静となるため,必要に応じてカテーテルで導尿を行います。

→そのとおりのことが行われた。

 

 


今回はここまで,②に続く。